【2023年12月号】片柳弘史神父とよむ こどものせかい

2023.11.06   エッセイ

 

 


最初のクリスマスプレゼント

 

 クリスマスは、子どもたちにとって、一年で一番楽しみな日の一つでしょう。どうしてかといえば、この日にはサンタクロースからプレゼントがもらえるし、おいしいケーキやチキンを食べてお祝いすることができるからです。わたしも子どものころ、毎年、クリスマスが来るのをワクワクして待ったものです。
 
 小学校の友だちに誘われて教会のクリスマス会に行き、クリスマスはサンタさんの日ではなく、「イエスさま」という人の誕生を祝う日だと聞いたとき、わたしはとても驚きました。イエスという人が生まれたと聞いても、別にうれしくないし、なんでわたしが祝わなければならないのと思ったからです。教会の神父さんは、そんなわたしにやさしく話してくれました。
 
 「サンタさんが、なんでみんなにプレゼントをくれるか知ってるかい。サンタさんは、実は、昔の教会の神父さんなんだ。あるときサンタさんが町を歩いていると、家の中から子どもの泣く声が聞こえた。どうやら、家がとてもびんぼうで、食べ物がないらしいんだ。サンタさんはかわいそうに思って、夜になってからその家に行き、煙突からぴかぴかの金貨を投げ込んだ。煙突からころがった金貨は、暖炉の前に干してあった靴下の中に入ったんだ。子どもたちは、次の日に、靴下を履こうとしてびっくり仰天。中に金貨があったからね。これで食べ物を買えると、子どもたちは大喜びした。それが、最初のクリスマスプレゼントだということだ。ところで、サンタさんがなんでそんなことをしたかわかるかい。それは、イエスさまがみんなに『困っている人がいたら、助けてあげましょう』と教えたからなんだよ。つまり、イエスさまが生まれなければ、クリスマスプレゼントもなかったんだ。」
 
 この話を聞いて、わたしはとてもうれしくなりました。そうか、イエスさまが教えたからサンタさんがやさしい人になって、ぼくもプレゼントをもらえるんだと思ったからです。その話をしてくれた神父さんがやさしかったのも、きっとイエスさまのお陰でしょう。「イエスさま、お誕生日おめでとう」と、わたしは心の中でいいました。
 
 この絵本には、イエスさまからやさしい気持ち、うれしい気持ちがたくさんの人に広がっていく様子が描かれています。サンタさんもその中の一人、みんなもその中の一人です。このクリスマスに、みんなの心にやさしい気持ち、うれしい気持ちのプレゼントがたくさん届きますように。クリスマス、おめでとう。
 
 
 

 

 


◇2023年12月号「みんなの クリスマス」 センバ・太郎・絵/景山あき子・文◇

 

 

 

▼ 片柳弘史 プロフィール

カトリック宇部教会主任司祭。1971年埼玉県生まれ。1994年慶応大学法学部法律学科卒業。1994〜95年インド・コルカタにてボランティア活動。マザー・テレサから神父への道を勧められる。1998年イエズス会入会。2008年上智大学大学院神学研究科修了。同年、司祭叙階。現在は山口県宇部市で3つの教会の主任司祭、3つの幼稚園の講師、刑務所の教誨師。

◆著作に『みんなのやさしいおかあさん マザー・テレサ』(絵・つるみゆき/文・片柳弘史、至光社)『こころの深呼吸〜気づきと癒しの言葉366』『やさしさの贈り物〜日々に寄り添う言葉366』(教文館)、『世界で一番たいせつなあなたへ〜マザー・テレサからの贈り物』『何を信じて生きるのか』(PHP研究所)『ひめくりすずめとなかまたち』(キリスト新聞社)など。

◆Eテレ『グレーテルのかまど〜マザー・テレサのチョコレート』、テレビ朝日『ぶっちゃけ寺〜キリスト教特集』などに出演。ブログX(旧Twitter)facebookを通しても情報発信している。

 

 


 

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