【2024年4月号】片柳弘史神父とよむ こどものせかい

2024.03.05   エッセイ

 

 


いのちの歌

 

 新緑がいっせいに芽吹くころ、光にあふれた山道を歩いていると、まるで山全体が歌っているように感じることがあります。太陽の光をあびて輝くみずみずしい若葉が、木々からあふれだした喜びの歌、いのちの歌のように感じられるのです。若葉の色は、木によって濃淡があります。明るい色の葉が茂る部分は高い声で、落ち着いた色の葉が茂る部分は低い声で、それぞれに喜びを歌っているようです。その歌声が大合唱となり、山全体にこだましている。そうとしかいいようがないほど、山がうれしそうにしているときがあるのです。

 うれしそうに歌っているのは、山だけではありません。木々の枝ではたくさんの鳥たちが、ツィッピーツィッピー、チョチョチョチョチョ、ジッジッジッジ、ホーホケキョケキョなどと、それぞれの声でうれしそうに、力いっぱい歌っています。木々の歌と違って、実際、耳に聞こえる歌声なので、ときにはうるさく感じられるほどです。その歌声は、まさにいのちのほとばしり、いのちの歌と呼んでいいでしょう。
 
 木々や鳥たちの歌声を聞きながら歩いているうちに、わたしもうれしくなって歌い出します。もちろん、周りに人がいないのを確かめてからですが、何しろ、歌わずにはいられない気持ちになるのです。誰も聞いていないはずのその歌声ですが、神さまにはきっと届いているでしょう。働き者の天使が、どんなときでもわたしたちの思いを神さまに届けているからです。言葉にする必要さえありません。わたしたちの心からあふれだす思いは、すべて神さまに届いているのです。みんなの歌声を聞いているうちに、神さまもきっと、鼻歌くらい歌い出すかも。この世界は、なんとすばらしいのでしょう。
 
 
 
 


 

◇2024年4月号「みんな うたってる」 杉田  豊・絵と文◇

 

 

 

▼ 片柳弘史 プロフィール

カトリック宇部教会主任司祭。1971年埼玉県生まれ。1994年慶応大学法学部法律学科卒業。1994〜95年インド・コルカタにてボランティア活動。マザー・テレサから神父への道を勧められる。1998年イエズス会入会。2008年上智大学大学院神学研究科修了。同年、司祭叙階。現在は山口県宇部市で3つの教会の主任司祭、3つの幼稚園の講師、刑務所の教誨師。

◆著作に『みんなのやさしいおかあさん マザー・テレサ』(絵・つるみゆき/文・片柳弘史、至光社)『こころの深呼吸〜気づきと癒しの言葉366』『やさしさの贈り物〜日々に寄り添う言葉366』(教文館)、『世界で一番たいせつなあなたへ〜マザー・テレサからの贈り物』『何を信じて生きるのか』(PHP研究所)『ひめくりすずめとなかまたち』(キリスト新聞社)など。

◆Eテレ『グレーテルのかまど〜マザー・テレサのチョコレート』、テレビ朝日『ぶっちゃけ寺〜キリスト教特集』などに出演。ブログX(旧Twitter)facebookを通しても情報発信している。

 

 


 

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