【2023年6月号】絵本づくりの仕事場より/河原まり子

2023.05.05   仕事場

 

 この絵本のモデルは茨城の山林で生まれた野犬の子ども、つまり、うちのワンだが、保護施設を2軒ハシゴした。2軒目の施設と言っても普通のお宅だが、ここで猫20匹と一緒にいたらしい。当初、子どものいるお宅へもらわれたが戻された。おそらく、わんぱくすぎたのであろう。

 うちに来て以来、脱走歴150回。網戸を全部破り、アコーディオンカーテンを壊し、玄関の戸を傷付け、新設したベランダを大半齧りまくった。野犬の子どもがこんなに大変だとは知らなかった。

 そんなわんぱく犬だが、猫20匹と暮らしていたと聞いていたのでこの話が生まれた。猫に育てられた犬が自分のことをすっかり猫だと思い込むことはあるにちがいない。犬が悩んだりするかはわからないが、犬は犬が好きだから、きっと一緒に走ったら楽しいに決まっている。「あー、楽しかった。もしかしたら、ぼくは犬かもしれないな」とつぶやくにちがいないと。
 

 

 

 

▼ 河原まり子 プロフィール


絵本作家。作品に「たまねぎぼうや」「そめごろうとからす」「なかまってさいこうさ」(至光社)/「天国からやってきたねこ」「わたしから、ありがとう。」(岩崎書店)/「ねこさんどうしてないてるの」(小学館)/「もしも、そばにいぬがいたら」「グルグル ぼくのだいじなおもいで」(偕成社)/「はじめてのおわかれ」(佼成出版社)。ライター利岡裕子氏との共著に「犬から学ぶ心のレッスン」(講談社)/「犬とつきあう本」「猫とつきあう本」(偕成社)/「さようなら、ありがとう、ぼくの友だち」(岩崎書店)。エッセイ「子犬のワッハ」(講談社)/「やっぱり犬が好き」(PHP研究所)など。

 


 

▼こどものせかい2023年6月号
 『ぼく もしかしたら』をみる

 

 

◇この絵本をもっとあじわう
  片柳弘史神父とよむ こどものせかい
 

◇編集者による制作エピソードなど
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