【2023年8月号】片柳弘史神父とよむ こどものせかい

2023.07.05   エッセイ

 

 


知りつくせないほど豊かな世界

 

 ページをめくるたびに広がる色鮮やかな生き物たちの世界に、思わず息をのみました。わたしたちが生きている世界の豊かさを、改めて教えてくれる絵本です。

 この世界は、あまりにも豊かで、人間が知っていることなどほんのわずかにすぎません。ごく身近な動物たちのことでさえ、知らないことの方が多いのです。しかし、それなのに、人間は自分が知っている世界がこの世界のすべてだと思い込んでしまいがち。いや、自分の生活と関係ないことには、興味がないといった方がいいかもしれません。これほど豊かな世界に住んでいながら、わたしたちは、自分で作り上げた小さな世界に閉じこもって生きているのです。

 その小さな世界の中で、わたしたちは互いに競いあい、傷つけあって苦しみます。「こんな世界に生きていても意味がない」とさえ思いつめてしまうのです。そんなときに思い出したいのが、この絵本の視点です。「こんな世界」というけれど、わたしたちはこの世界についていったい何を知っているのでしょう。小さく閉じこもった人間の世界だけが、この世界のすべてではないのです。自然の中に出かけてみましょう。近くの公園や庭にいる動物たちに目を向けてみましょう。これほどまでにたくさんの命を育むこの世界は、確かに生きるに値する世界だと気づくでしょう。一つの命としてこの世界に生かされていることへの、感謝が生まれてくるでしょう。この絵本を通して、子どもたちの心に、この世界の広さ、豊かさ、素晴らしさがしっかりと刻まれますように。
 
 

 

◇2023年8月号「ぼくの  しらない  せかい」 よしだしずか・絵と文◇

 

 

 

▼ 片柳弘史 プロフィール

カトリック宇部教会主任司祭。1971年埼玉県生まれ。1994年慶応大学法学部法律学科卒業。1994〜95年インド・コルカタにてボランティア活動。マザー・テレサから神父への道を勧められる。1998年イエズス会入会。2008年上智大学大学院神学研究科修了。同年、司祭叙階。現在は山口県宇部市で3つの教会の主任司祭、3つの幼稚園の講師、刑務所の教誨師。

◆著作に『みんなのやさしいおかあさん マザー・テレサ』(絵・つるみゆき/文・片柳弘史、至光社)『こころの深呼吸〜気づきと癒しの言葉366』『やさしさの贈り物〜日々に寄り添う言葉366』(教文館)、『世界で一番たいせつなあなたへ〜マザー・テレサからの贈り物』『何を信じて生きるのか』(PHP研究所)『ひめくりすずめとなかまたち』(キリスト新聞社)など。

◆Eテレ『グレーテルのかまど〜マザー・テレサのチョコレート』、テレビ朝日『ぶっちゃけ寺〜キリスト教特集』などに出演。ブログtwitterfacebookを通しても情報発信している。

 

 


 

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